たった一年だけど、
一生を変えた一年だった。
山田優花 外国語学部 英米学科 2004年度入学/2009年度卒業
絶対的貧困の実態。
大学2年の終わりに休学してウガンダへ行き、遺児支援のNGO「あしながウガンダ」で1年間ボランティアをしました。貧困のために教育を満足に受けられない子どもたちの現状を現地で目の当たりにし、心のケアプログラムに携わったり、小中学校で先生の補助をしたり、ホームステイをしたり…。少しでもチカラになりたくて、いろんなことをしました。
あるとき、じぶんと3人の弟妹たちだけの一家を支える13歳の少女の家にホームステイをしました。毎日3キロも離れた水たまりまで水を汲みに行き、途中の道端の果物を採って飢えを満たすような生活をしていました。絶対的貧困がどんなものなのか、そこで教育を受けることがどんなに難しいかを肌で知りました。
そして、じぶんの無力さも知った。
またあるとき、エイズを発症して余命がわずかな少年と出会いました。何もできない、何もしてあげられない。じぶんの無力さと世界の不平等さに心が打ちひしがれました。
同じ地球の上なのに、世界から忘れ去られた環境に身を置かざるを得ない生命があることを知りました。幸運にも大学に通えているじぶんのチカラを、このひとたちのために使うべきだと思うようになりました。
ウガンダのひとたちと出会えてよかった。
とんでもない状況にありながら、いつも笑顔を絶やさないウガンダのひとたちに何度も救われました。あのひとたちと出会わなかったら、じぶんはもっとネガティブな性格になっていたと思います。
彼らのために何かしたいと思って渡航しましたが、教えてもらったことの方が圧倒的に多い一年でした。
課題は社会構造にある。
貧困や教育の格差など、じぶんだけではどうしようもできない壮大な課題を前にして、毎日打ちひしがれていました。学校やNGOなどでいろいろなひとの話を聞き、本を読み、学んでいくと、そういった課題は社会構造が大きく関わっていて、その仕組みを学ぶことで変革に取り組める方法があることを知りました。
当事者の立場に立つということ。
実際にじぶんの目や耳を通して、聞きしに勝る凄まじい貧困を知りました。彼らの側に立って現実を見たことで、感情が揺さぶられるほどの体験をたくさんしました。大学時代にあんな貴重な経験をしたことは、いまのじぶんの人生に大きな影響を与えています。
人生で大切だと思えるひとたちとたくさん出会えたことで、世界で起こっていることをじぶんのこととして考えることができるようになりました。勇気を出して飛び出すことで、出会えるひとや世界が広がることを実感しました。
ウガンダのひとたちからもらったもの。
ウガンダのひとたちの底抜けの明るさから、「いつだって何とかなるさ」と思える思考を学びました。それはいまも仕事や生活、子育ての大変な場面で、とても役に立ちます。ウガンダでは、じぶんから声を発する機会すらなかった子どもや母親たちを、山ほど見ました。彼らのような声なきひとたちの代弁者になりたいという想いがいまの仕事に繋がっています。
卒業後はあしなが育英会に就職。5年間ウガンダの地で働き、あしながウガンダの代表も務めました。あの1年がなければ別の人生を歩いていたでしょうね。
外大生であるという財産。
外大生ということで、海外で活躍する基礎となる言語を習得しているだけでもすでに大きな財産です。世界にはあなたのチカラを待ち望んでいるひとがいる。恐れず、広い世界に飛び込んでみると、想像もしていなかった世界と未来が待っていると思います。