神戸市外大

いつか、
じぶんの人生をかけて、
世界平和を実現する。

延岡由規 外国語学部 国際関係学科 2012年度入学/2016年度卒業

小川さんとの出会いがすべて。

 2013年、2年生のときに杉山先生の「教育原理」の授業で、NPO法人テラ?ルネッサンス理事長の小川真吾さんの講演会があり参加しました。そこで、「子ども兵」や「ウガンダの紛争」という問題にはじめて触れました。怒り、悲しみ、憤り。わたしの中で激しく感情が渦巻きました。それが直接の動機になり、翌年からテラ?ルネッサンス京都事務局でインターンシップをすることになりました。そこで主に携わったのは、市民への活動報告会、イベントの運営などです。

大学4年目の決意。

 その後2015年、4年生のときに1年間の休学を決意するに至ります。当時テラ?ルネッサンスには、海外インターンシップの制度はありませんでした。現在も、京都事務局での活動が基本で、海外事務所でのインターン生募集は行っていません。でも、国内でのインターンシップで感じた「現場に行かないと気持ちがおさまらない」「現場で体験してこそ見えるものがあるのではないか」という想いを、職員の方々に伝えたんです。その結果、テラ?ルネッサンス初の長期派遣海外インターン生としてウガンダ事務所に駐在することになりました。

じぶん自身の無力さを痛感し、逃げ出そうと思った。

 2015年7月から12月まで、ウガンダ事務所に駐在しました。ウガンダ北部で、元子ども兵の社会復帰事業をサポートしました。広報用の写真や動画を撮影したり、元子ども兵へのインタビュー調査、その家族へのインタビューと家庭訪問などに従事しました。
 10歳前後で誘拐され、男の子は無理やり少年兵にさせられ、女の子は食事の用意などの後方支援だけでなく、望まない相手と強制的に結婚させられ、子どもを連れて帰ってきているひともたくさんいました。
 物凄い怒りと悲しみの感情に押しつぶされそうになりました。でも問題を引き起こしている紛争の裏には、大国の代理戦争という複雑な構図が見え隠れする、あまりにも巨大な壁のような問題があり、じぶんひとりではどうしようもないという現実も知りました。行ってみたら、できることはなかったというのが、正直なところです。逃げ出したくて、本気で帰国便を探しました。それくらい落ち込みました。
 インタビューは1日に3?5人、約10日間行いました。こちらから話を促すことはないのですが、一度話し出すとこころの束縛から解放されるのか、辛い過去の思い出を涙ながらに話してくれました。元子ども兵の言葉には、辛いとか悲しいとかというありふれた言葉では表現しきれない、こころの奥底に沈み込んでいる感情が込められていました。
 インタビューをしたあとは、元子ども兵の方たちの言葉が濁流のように頭の中に渦巻き、夜も眠れませんでした。

ウガンダの人たちが教えてくれたこと。

 ウガンダ滞在中にブルンジへも出張しました。住民たちを対象としたワークショップ開催のサポート、活動風景の写真や動画撮影を行いました。その後の休学期間の後半はカンボジア事務所に派遣され、インターンシップに取り組みました。そして復学するわけですが‥。
 ウガンダでの経験でひとびとに教えられたのは、笑顔が勇気をくれるということでした。英語をうまく話せない元子ども兵の方たちが、身振り手振りを交えながら笑顔でコミュニケーションしてくれる姿が、わたしに不思議なチカラを与えてくれました。笑顔のチカラでなんとか気持ちを立て直すことができ、逃げ出したいという気持ちは頭の中から消え去りました。いま目の前にあるこの笑顔のために、じぶんにできることをやり尽くそうと思いました。

小川さんのそばで働きたかった。

 復学後にNPO法人テラ?ルネッサンスのカンボジア事業職員として入職が決定しました。NPOで働こうと思ったのはやはり、この活動に入るきっかけになった小川さんがステキで、小川さんのそばで働きたというのが大きな要因です。
 卒業と同時に、日本とカンボジアを往復する日々を送り、そして現在は教育系の国際協力NPO職員として働いています。元子ども兵の自立をサポートしたウガンダでのインターンシップ経験が強く影響していると思います。

サッカーボールの裏側。

 小川さんの講演会でアフリカ、ウガンダ、子ども兵というキーワードに触れるずっと以前から、じつは児童労働に関心を持っていました。2002年の日韓共催のワールドカップの年、わたしは小学校3年生でした。小学校の道徳の授業で、インドやパキスタンではじぶんと同年代の子どもたちがサッカーボールの製造の現場で長時間労働を強いられていることを知ったのです。じぶんが毎日楽しく追いかけているサッカーボールの裏側に存在する事実を知って、じぶんの中で児童労働という問題を意識するようになったのだと思います。そして小川さんの話を聞いてから子ども兵に関する文献を調べていて、子ども兵は世界で「最悪の形態の児童労働」のひとつだという言葉を見つけました。長年の問題意識と新しい課題が結びつき、じぶんがこの先関わっていくべき方向性が決まったように思います。

世界平和を実現するというヴィジョン。

 あまりに壮大すぎるのですが、じぶんの人生をかけて実現したいこととして、20歳のころから「世界平和の実現」というヴィジョンを持っています。小学3年生のころから抱いていた児童労働問題への関心や、小川さんの講演会への参加で知らされた「アフリカ、ウガンダ、子ども兵」の問題などいろんなことが重なって、そんなことを考えるようになりました。
 じぶんひとりのチカラで実現できるものではないので、いままでの人生で出会ったひとの支えに感謝しながら、これから出会う人たちと手を取りながら世界中のいろんな問題を解決し、いつかこのヴィジョンが実現するような日が来ると信じています。

大切なのは一次情報に触れること。

 とにかく現場に出ることです。教室の中での勉強、図書館での情報収集は重要です。でも、それだけではどうしても触れることができない情報があります。現場で得る情報を、わたしは一次情報と定義しています。どれだけ本を読んでも、どれだけ論文を読んでも、どれだけ映像資料を観ても、やはり現場でないと経験できないものがあります。それこそ、一次情報です。現場で直接コミュニケーションすることで得た経験を発信していくことで、仲間ができ、ひと?チーム、コミュニティとしての繋がりができていくのではないでしょうか。

夢は叶えるまであきらめないこと。

 夢を叶えるためのたった一つの方法は、夢が叶うまであきらめないことです。それしかありません。夢という終着点が決まれば、後はその終着点に向かって歩み続けるだけです。
 夢を夢で終わらせないでください。後輩の皆さんの夢を応援しています!

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