休学って海外へ留学すること
だけだろうかという、
素朴な疑問からはじまった。
小林光梨 外国語学部 第2部英米学科 2016年度入学/2022年度卒業
じつは留学するために、休学を予定していました。でも、本当に海外に行くことがじぶんにとって最良の選択なんだろうか?と、問い直したんです。その当時のわたしが海外へ行くことで得られるものには限りがあるのではないだろうか、と感じました。いま考えると、行ったら行ったで、新たな体験を積んだり、かけがえのない出会いもあったでしょう。でもわたしは、ただ漠然と“みんなが行くから行きたい”と考えていたと思うんです。そんなじぶんが親に多額のお金を出してもらって行くのは見合わないなあと感じたので、その気持ちに従うことにしました。
海外に行くのは、ひととして成長してからで良い。
海外へ漠然と出ていくよりも、大学の在学中にはっきりと目的を持って、国内で多くの経験を積もう。そして、ひととして成長してから海外へ行こう。そうすることで、出会うひと、行く場所、身を置く環境、得られるもの。極端に言えば、すべてが大きく変わるだろうと、思ったんです。
まず最初に、在学中に東京へ移ることを決心しました。はじめて実家から出たので、住むエリアを決めること、家を探すことからやらねばならず大変でした。ところが、日テレの「幸せボンビーガール」という番組の“上京ガール”というコーナーに出演できたのです。そのおかげで住むエリアを決めたり、家探しのお手伝いをしてもらえました。実際は親の助け無しのひとり暮らしだったので、アルバイトで稼いでやりくりするのが大変でした。いろんな縁に恵まれて、多くの方々のおかげで乗り越えることができました。
新規事業の立ち上げに参画して得られたこと。
東京へ出た目標の1つ目はビジネススキルを養うことです。スキルアップするなら、東京の方が良いだろうと、考えました。ライブ配信サービスなどを運営している「SHOWROOM」という会社で新規事業の立ち上げに参画しました。また、フリーランスとしてソーシャルメディアプランニングの業務を受託したりもしました。
「SHOWROOM」での業務は、正直かなり大変でした。でも大きな仕事ですし、有名なひととも一緒に仕事ができました。クオリティを求められるので、寝ずに仕事に邁進することは数しれず。お得意先へ走りまわったり、ミスで迷惑をかけたり。達成感が大きかったそのぶんだけ、こころがすり減りました。じぶんの弱い部分と正面から向き合える貴重な経験でもありました。最終的にはメンタルが崩れてしまい、反省すべき点も多々ありましたが、得たものはたくさんありました。この経験から、じぶんのことをこれまで以上に知ることができたように思います。肩のチカラを抜いて、じぶんらしく生きられるようになりました。
一方で刀の稽古に励み、日本文化を発信する。
東京へ出たふたつ目の目標である日本文化の伝導については、休学前から興味があった剣舞や殺陣の稽古に励みました。関西にも稽古ができる場はあるのですが、東京へ行った方がいろんなひとに会えると考えました。浅草の師匠の元に週に1回通っていました。東京の団体に入門し、靖国神社、日光、東京ビッグサイトなどの舞台で演舞を行い、SNSで海外へ発信しました。生き様死に様というように、生死は紙一重です。互いの刀がブレルことで生死が逆転しかねません。相手の呼吸に合わせることが大切です。ひとの呼吸に合わせないと怪我に繋がってしまいます。
突然東京へ出ていったことで、親にはたくさん心配をかけました。母とは言い合いや喧嘩もたくさんしました。でも、“0から1をつくり続ける”わたしを見て、次第にわたしを信頼してくれるようになり、喧嘩もしなくなりました。刀を合わせるのと同じで、呼吸が合うようになったのでしょうね。呼吸を合わせるにも、信頼を得るにも、やはり長い時間がかかりますよね。
大学の外の世界でわたしが手にしたもの。
外大のひとは当たり前に語学が強いというか、語学に特別感がないのがよいところですね。チャレンジしているひとはたくさんいます。外大でメッチャ良かったですし、外大の友人とはいまも繋がっています。でも大学の外の世界には、良くも悪くも大学では出会えないひとがたくさんいました。家族や大学に守られていないぶん、なにかがあれば自己責任ですが、会えるひとの幅は大きく広がりました。いろいろなひとに会い、価値観や考え方の違いを知ることはとても有意義でした。そうやって磨いたひととしてのセンサーが、いまも役に立っています。じぶんで業務の責任を背負い報酬をもらった経験や、社会人としてのスキルを少しでも身につけたことは、のちのち大いに役立ちました。
現地の大学に入ること、滞在経験、文化の経験以外の大抵のことは、現地に行かなくても日本でできるのではないでしょうか。
じぶんがどういう人間か、なにが強みでなにが弱みか。
お話ししてきたような行動や体験を通して、多くのものを得ることができました。知り合ったコミュニティとは、いまも繋がっていますし、得た経験や知識は現在も生き続けています。そして、何よりもじぶんを信じることができるようになり、確固たる自信になっています。たとえば、ひととの縁は何よりも大事にすること。やりたいことがあればたとえ0.1歩でも踏み出してみること。想いは秘めずに口にすること。その場で適当にあしらわないこと。嘘をつかないこと。じぶんのこころの違和感は絶対に放置しないこと。いつもじぶんで決めること。他人の責任にしない。そんな、よく耳にする教訓の本当の意味を、身にしみて実感することができました。どれもごく当たり前のことですが、経験を持ってその意味を理解できたことに価値があると思います。また、それらを理解することによって、じぶんがどういう人間なのかを知り、なにが強みでなにが弱みなのかも知ることができました。
日本文化がじぶんの中で軸として残っています。でも、日本の会社には合わないかもしれないとも感じていました。SNSのスキルをいかして海外でSNSマーケティングの職に就きたいと思いました。アメリカやヨーロッパの会社は新卒ではなくキャリア採用なので、厳しいというか無理でした。でも、東南アジアでは日本語がアドバンテージになります。卒業後にマレーシアで就職しました。Metaのデジタルマーケティングコンサルタントをしていましたが、結婚をきっかけに帰国。いまは電通デジタル社でSNSマーケティングプランナーとして働いています。
じぶんに確固たる自信が備わったことで、出会うひとや環境も、じぶんが求めるものにたどり着けるようになりました。じぶんにも他人にも嘘をつくことなく、正直に率直に気持ちよく生きている気がしています。どんな決断をしても、常にじぶんが納得できる道を歩めています。
現在、夫婦で世界一周旅行の計画を立てています!
外大生はオープンマインドで好奇心旺盛。そこが強み。
外大生は外の世界に興味や関心が高く、オープンマインドで好奇心いっぱいのひとが多かったように思います。学生時代にいろいろと活動しているひともたくさんいると思います。その活動を学生時代だけで終わらせてしまうのではなく、卒業して社会人になっても繋ぎ続け、さらに飛躍させてください。
海外での就職に興味のある方は、お声がけください。リアルなお話ができると思います。