2024年3月27日
2023年度学位記授与式?卒業式を挙行しました
3月25日(月曜)、2023年度学位記授与式?卒業式を執り行い、学部生424人、大学院生41人が卒業?修了しました。
今年はコロナ禍に置いて省略していた修了生?卒業生全員の氏名の読み上げ及び校歌斉唱を4年ぶりに実施しました。
ここに、田中学長の式辞を紹介します。
学長式辞
卒業生の皆さん、本日はご卒業おめでとうございます。また、別室にて式典にご列席なさっておられる保護者の皆様には、ご卒業生の活き活きした晴れ姿をご覧になり肩の荷を降ろしたお気持ちになられていることと拝察いたしております。これまでのご卒業生に対する物心両面にわたるご支援に敬意を表しますとともに、この場をお借りして祝意を表したいと思います。
4年前に勃発いたしました澳门美高梅金殿,澳门赌场app感染症によるパンデミックのため、この4年間は卒業式も中止や短縮措置を余儀なくされてまいりました。本年度の卒業式は、ようやくコロナ禍前の本来の式典に完全に回復させることができました。先ほど、本年度の全修了生?全卒業生のお名前を紹介いたしましたが、これもコロナ禍前まで本学が長年にわたって続けてきたもので、私どももこれが復活したことに感慨深いものを感じた次第でございます。
思い起こしてみますと、4年前に勃発したコロナ禍のために、多くの皆さんは入学式やオリエンテーションが中止になる中で、勉学や学生生活に関する情報をオンラインで集め、困難な大学生活をスタートさせたことと思います。また、コロナ禍のために、海外への留学を先送りして卒業年次を予定より遅らせた方もおられるでしょう。ここに集っておられる皆さんは、いずれも様々な形でコロナ禍に影響され、不自由な学生生活を送ってこられたことと思います。
4年前に勃発したコロナ禍のように、近年では私たちが予想していない事象が数多く見られます。本年元日に発災した能登半島地震のような天災、ロシアによるウクライナ侵攻やガザ地区におけるイスラエルとハマスによる戦乱に象徴される戦争、また一昨日モスクワ郊外で発生した大規模なテロ、といった大きな事象が立て続けに生じており、現在ではこうした大きな事象がいつどこで起こっても不思議ではない状況にあります。その意味で、私たちは非常に大きな不確実性がある社会に直面しているといっても過言ではないように感じます。
こうした大きな不確実性がある社会で活動していく上で、何に注意すれば良いでしょうか? 予想しない状況に直面したとき、私たちは、何がその状況をもたらす原因となっているかを分析し、対応策を考えていきます。予想しない状況に対応していくためには、その状況を引き起こした原因を観察や分析を通じて探ることが必要不可欠であると言えるでしょう。皆さんは、大学での学びを通じて、それぞれの専門分野で確立された観察や分析方法を学んでいます。大学での学びによって得た観察や分析を行う力をこれからも維持し続け、予想しない状況に直面したときに、皆さんが学んだ専門分野の視点に立脚した「観察力」や「分析力」を発揮すれば、予想しない状況をうまく克服できるのではないかと思います。
しかし、こうした「観察力」や「分析力」も、予想しない状況に関する情報がなければ「宝の持ち腐れ」になってしまいます。「宝の持ち腐れ」とならないためには、日々世界の様々な出来事に関心を寄せ、常に多様な情報に触れながら情報の収集に努めることが必要になります。また、皆さんが身につけた「観察力」や「分析力」も、そのまま放置すれば、その切れ味が失われたり陳腐化してしまう危険性があります。皆さんには、これからも、今までと異なる仕方になるのかもしれませんが、「観察力」や「分析力」を維持するための勉学を続けていただきたいと思います。
社会に出られたら、学生の立場とは違った形で様々なことを経験されることと思います。そうした一つ一つの経験は、予想しない状況に直面したときにも活かされます。私たちは、能登半島地震の復旧や復興に際しても、多くの人々がそれぞれの経験を活かして活動を続けていることを知っています。皆さんが、これからそれぞれの場での様々な経験に真摯に向き合うことが「観察力」や「分析力」を補強して、予想しない状況に適切に対応できる力となるのだと思います。
皆さんがコロナ禍の大学生活で身につけた「観察力」や「分析力」をベースにして、社会の中で様々な経験と勉強を蓄積していけば、どのような状況に直面しても適切な対応を図ることができるものと信じております。皆さんが、そうした地道な努力を通じて、世界に通用する次世代の社会を作り上げていただくことを心よりお祈り申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。ご静聴、ありがとうございました。
2024年3月25日
学長 田中悟