2024年10月23日
【卒業生お仕事図鑑】外務省(2009年3月卒)
【卒業年月】2009年3月
【卒業学科】ロシア学科
【卒業高校】石川県立金沢泉丘高等学校
勤務先について教えてください。
外務省は、言葉や文化、考え方の違うたくさんの国々や地域がある国際社会において、話し合いを通じて平和な国際社会を維持し日本や日本国民の利益を守るために働く組織です。東京にある外務本省と世界155か国(2024年1月現在)に置かれている在外公館で構成され、その任務の実現のため、東京において政策の立案と決定が、また在外公館においてその執行が行われています。
現在のお仕事の内容について教えてください。
モスクワでの語学研修、在ウズベキスタン大使館、在ロシア大使館での計7年にわたる海外勤務を経て、2022年8月から本省欧州局ロシア課で勤務しています。
現在は主に、日本とロシアの間の漁業協定に基づく交渉や操業に関わる問題を担当しています。協定に基づき日本の漁業者の皆様が北方四島周辺水域やロシア水域で操業を行っているのですが、操業機会の確保や安全な操業のために、関係省庁と連携し、色々な考慮事項を踏まえながら対応を検討しています。漁業交渉の際には日ロ通訳も担当します。
また、北方領土問題に関わる案件も担当しており、最近では、元島民とその後継者の皆様の「せめて四島の近くで慰霊したい」という切実な思いに応えるために実施されている洋上慰霊に参加させていただきました。
北方四島周辺水域を含めて漁業者の操業機会?安全操業の確保のために邁進。
上: 北方領土周辺水域の操業から戻ってきた漁船(2022年9月)
下: 北方領土周辺水域で漁獲されたスケトウダラ(同)
現在のお仕事を選んだ理由?きっかけは何ですか?
外務省を選んだ理由はいくつかあります。特に、父親が見ていた戦争ドキュメンタリーや学校での戦争教育をとおして「戦争や争いは絶対したらいけない」という思いをいつからかもっていたのですが、諸外国との間の問題を交渉で解決したり、友好関係を促進するなかで平和を実現するという外交に熱い思いを感じたことが大きかったと思います。また、日本のために働きたいと思っていましたが、両方を実現できるのはグローバル企業でも国際機関でもなく外務省だけだと思い、外務省を受験しました。
在ロシア日本国大使館勤務時代。広報文化部で文化、スポーツ、青年交流等で
日露間の友好を促進するために邁進。
上: オリンピック外交(ロシア?スポーツ大臣との面会に同席(2021年7月))
下: 青年交流(日露青年交流委員会年次会合に同席(2021年9月))
神戸市外大での学びが社会で生かされていると思うことは何ですか?
外務省では採用時に言語が言い渡されますが、私の場合はロシア語が割り当てられました。そして入省以降、ロシア又は中央アジアに一貫して携わっており、大学で学んだロシア語を存分に活かせています。
また、学生時代の留学を通して、人やモノの多様性と絶対的な価値観がないことを身をもって学びました。この経験が、客観的?多角的な視点でモノ事を見る力を高め、組織においても活かすことができています。
在ウズベキスタン日本国大使館勤務時代。初めての海外勤務で政務案件から
領事案件まで様々な業務に奔走。
上: 学術交流(日ウズベキスタン学長会議への同行(2019年7月))
下: 大使館の現地職員との交流(同)
社会人になってから在学中にしておけば良かったと思うことはありますか?
大学時代は自由な時間が沢山あり、また必要があればアルバイトでお金を貯め、やりたいことをある程度実現できる時期だと思います(社会人は学生時代よりもお金はあるかもしれませんが、まとまった時間がなかなかとれません)。
私自身、勉強だけでなく、部活、アルバイト、遊びと色々なことをし、多くの経験を得ました。ただ、中期的に見た時に、真剣に考え行動した方がいいことに、そうしているようで、十分なリソースをさけていなかった、又はリソースの配分を変えることができなかったことを後から痛感することがありました。
この点は後悔した部分とも言えますが、時間や体力など自分がもつリソースには限りがあることを知って、沢山のやりたいことに優先順位を付けて取り組む(何をして?しないのか、するとしてもどこまでやるか)ことが重要であることを学び、今でも人生の教訓にしています。
神戸市外大を志望した理由を教えてください!
小さい頃から海外や外国語に興味をもっていたことから、高校生の頃には外国語大学を受験することを考えていました。
神戸市外大で楽しかった授業はありますか?
楽しいとは違いますが、国際法ゼミや時事問題を考える授業が自分の内側にあるパッションを引き出してくれたように思います。
在学中の思い出について教えてください。
いい思い出は沢山ありますが、ロシア語学科の友達や所属していたテニス部の同級生、先輩後輩とお腹を抱えながら笑った日々はとても良い思い出です。また、1回生の春休みに同級生数十人とロシアに短期留学しましたが、色々なハプニングに合いながらも、皆で楽しく過ごしたことも良い思い出です。
ロシア語学科の同回生(上)とテニス部の同回生?後輩(下)との写真。
卒業から10年以上経っても思い出話で大盛り上がり。
就職活動時に外大生で良かったと思ったことは?
私が所属していたテニス部はOB?OGの皆様との関係がとても強く、就職活動時にも先輩方に相談に乗っていただいたり、面接の練習に付き合っていただきました。先輩方からの応援がとても嬉しく心強かったです。
テニス部時代。先輩方に沢山御指導いただくとともに、後輩達からも沢山サポート
してもらいました。
最後に外大生や外大を目指す受験生へメッセージをお願いします!
神戸市外大は、日本以外の外からの目をとおして多様性を学ぶ機会をたくさん提供してくれます。また、規模は小さいかもしれません。でも、その分アットホームな雰囲気があります。関西ならではの明るい雰囲気や笑いがたくさんあります。ロシアについて言えば、ロシア語学科には語学の基礎をしっかり学ぶためのカリキュラムがあり、奥深い国から多角的な視点を養うことができます。一言で、神戸市外大には単なる知識を越えた人としての成長を得られる機会があると思います。
次に少し大きな視点でメッセージをお伝えしたいと思います。外大生のなかにも、受験生のなかにも自分の進む道に悩んでいる方がおられると思います。悩むことはエネルギーが必要で、時には辛いこともあると思います。でも、悩むことは誰でもあって、自分に向き合い成長する上で必要なプロセスです。「どうしたらいいのか」ではなく「自分がどうしたいのか」ということについて、自分の内側に向き合い、自分がもつ感性や価値観に出会いながら、進む道を選択する。努力してもほしい結果を得られない時もあると思います。自分自身の考え方も年齢によって変わることもあります。それでもその当時、しっかり考えて出した道を選択していれば、プロセスの過程で得られるものもあるでしょうし、何よりも振り返った時に納得できるのではないかと思います。
今の時間を楽しむと同時に、大事なことについては、自分の進む道を自分でしっかり選択し、その上で、その中に神戸市外大があるのであれば外大の魅力を存分に活かしていただきたいと思います。